栄養素についてのまとめ

腎臓に良い食べ物・食習慣


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栄養と栄養素

いきものが外から物質を取り入れ、一定の 代謝(物質の出入りや物質の変化のこと)を営むことにより生命を維持し個体として の機能的、形態的恒常性を維持するとともに、成長、生殖、身体活動などの生活現象を営むことを栄養といい、 そのために外界から摂取すべき物質のことを栄養素と言います。

栄養素には、主に生体を構成する成分となるタンパク質やミネラル、エネルギー源となる糖質や脂質、 そして円滑な物質代謝の維持に必要なビタミンやミネラルがあります。このうち、タンパク質、脂質および糖質を三大栄養素、これにビタミ ンとミネラルを加え五大栄養素と言います。

このほか、生体を構築しさまざまな物質を溶解する媒 体として水が重要です。

さらに近年、人体にはそれを分解する消化 酵素がなく、エネルギー源として直接的に吸収利用できないため、 非栄養素とされてきた各種の食物繊維についても、大切な物質と考えられています。

糖質

白いご飯のイメージ 糖質とは、炭素、水素および酸素からなり、分子内に数個の-OH基と1個のアルデヒド基/ケト基 を有する化合物で、Cn(H2O)nの一般式で表されます。 この糖質と繊維(加水分解で糖質を生じるもの)を総称して炭水化物といいます。

糖質は、ブドウ糖が多数結合したデンプンやグリコーゲンなどの多糖類、単糖類が二つ結合した しょ糖(果糖+ブドウ糖)、 乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)、麦芽糖(2分子のブドウ糖)などの二糖 類、ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど の単糖類に分類されます。 このうち、二糖類や単糖類は甘味を呈します。しょ糖の甘味を100とした とき、 果糖は173、 ブドウ糖は74、 麦芽糖とガラクトースは33、 そして乳糖は16の甘味があります。

糖質のもっとも大切な役割はエネルギー源としての働きです。糖質は、生体の解糖系、TCAサイ クルで分解され、炭酸ガスと水になる過程でエネルギー(ATP)を遊離します。 特に脳や神経組織で利用されるエネルギー源は、グルコースとケトン体のみ。 糖質は、分解されてエネルギー源になるだけでなく、その炭素骨格はアミノ酸や脂質にも変換され利用されます。 エネルギー摂取量がエネルギーの「消費量」を上回ったときは、一部はグ リコーゲンとして肝臓(5-8%)や筋肉(0。7-0。9%)に、残りは脂肪などに合成され蓄えられます。 このほか、糖タンパク質や糖脂質として、細胞膜や核酸(リボース)の成分にもなります。

食事から摂取された糖質のうち、デンプンはアミラーゼ、オリゴ-1、6-グルコシダーゼによりブド ウ糖に、しょ糖はサッカラーゼによりブドウ糖と果糖に、麦芽糖はマルターゼによりブドウ糖に、 そして乳糖はガラクターゼによりブドウ糖とガラクトースに、それぞれ加水分解され吸収されます。
糖質の適正摂取量は1日の総消費エネルギー量の55〜60%を糖質か ら供給するのに相当する量が適正な糖質の摂取量です。

糖質摂取量やインスリン不足により脂肪の燃焼が亢進すると、 ケトン体の産生が増すとともに、体タンパク質の分解による糖新生が促進されます。

脂質

オリーブオイル 脂質とは生体成分中、有機溶剤に溶け、脂肪酸を含み、さらに生体に利用されるもの(中性脂肪、リン脂 質、糖脂質、ステロール)の総称です。 脂質はその主な役割により、貯蔵脂質(中性脂肪)と機能脂質 (リン脂質、糖脂質、 ステロール)に分けられます。脂質の構成元素は、糖質と同じですが、糖質に比 べ炭素と水素の割合が多く、酸素の割合が少ないのが特徴です。

脂肪は脂肪酸とグリセロールからなり、その脂肪酸の違いで性状が変わります。 分子中に二重結合を含まない飽和脂肪酸(酪酸、 カプリル酸、 パル ミチン酸、 ステアリン酸など)とグリセロールからなる脂肪は、 一般に常温では固形状(脂)で、温血動物の脂肪などがそれです。

分子中に二重結合を含む不飽和脂肪酸「オレイン酸(1コ)、 リノール酸(2コ)、 リノレイン酸(3コ)、 アラキドン酸(4コ) とグリセロールからなる脂肪は、 常温では液状(油:不飽和脂肪酸80%以上)て、植物性脂肪がそれです。 マーガリンは、不飽和脂肪酸の二重結合部位に水素を添加し固形状にしたものです。

脂質は、単位重量当りのエネルギー含量が高く (9kcal/g)、 少ない容積で多量のエネルギーを摂取でき(消化管負担の軽減)、また効率的に体内に 貯蔵できます。 脂質のうち、 リン脂質、糖脂質、コレステロールなどは、生体膜や脳・神経組織の 構成成分としてその機能の維持に必須です。コレステロールはまた、 ビタミンD、 副腎皮質ホルモン、性ホルモンなどの前駆体になるとともに、胆 汁酸の成分でもあります。植物性脂肪に多く含ま れるリノール酸、 リノレイン酸、 アラキドン酸(リ ノレイン酸からも合成される)などの不飽和脂肪 酸は、体内で多様な生理作用を示す各種プロスタ グランジンの前駆体として重要です。 このほか、 適度な脂質摂取は、脂溶性ビタミンの摂取と吸収 を促し、脂肪からのエネルギー摂取は、糖質に比 ベビタミンB、消費量を節約します。

強い表面張力作用で大脂肪球を形成している脂 肪は、胆汁酸塩の作用で表面張力が低下し、微小 球脂肪ミセルよりなるエマルジョンを形成しま す。

このエマルジョン中の脂肪球は、膵リパーゼ の作用で遊離脂肪酸とモノグリセリドに加水分解 されます。

脂質の適正摂取量は、総消費エネルギーの20〜 30%を補う量です。そして、植物性脂肪:動物性 脂肪の適正摂取比は、 2。0〜1。0です。 脂質、 とくに動物性脂質の過剰摂取による血清 コレステロールの増加は、肥満とともに成人病の 大きな危険因子となっています。

植物性油や魚油中の 不飽和脂肪酸は酸化されやすく、その脂質過酸化 物は細胞機能の低下の原因となりますから、多量 の摂取には注意が必要です。日本人の脂質摂取量 は、現在、約60g/日、脂質からのエネルギー摂取 比率は約27%で、その約50%は動物性です。これ は、欧米諸国に比べとくに多いとはいえませんが、 動物性脂質摂取量の抑制は、成人病予防の点から 必要です。

タンパク質

鮪のイメージ タンパク質とは、炭素、水素、酸素のほかに約16 %の窒素(N)と少量の硫黄(S)を含みます。そのた め、タンパク質は糖質や脂質で代替できず、毎日 一定量を食事からとる必要があります。

タンパク質は、約20種類のアミノ酸がさまざまな量や比率 で結合した高分子化合物です。その構成アミノ酸 のうち、 リジン、 メチオニン、 トリプトファン、 フェニルアラニン、 スレオニン、 ロイシン、 イソ ロイシンおよびバリンの8種類は、その炭素骨格 が脂質や糖質などの中間代謝産物から体内で合成 できないため必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)とよ ばれ、食事からの補給が必要です。

また最近、ヒスチジンも必須アミノ酸であることが示されてい ます。 アルギニンは、その体内合成量が十分でな いため準必須アミノ酸といいます。グリシン、 ア ラニン、 グルタミン酸などは、その炭素骨格が悟 質や脂質から体内で合成され、非必須アミノ酸(可 欠アミノ酸)といいます。

タンパク質は人体の固形成分の約54%を占め、 細胞原形質の主成分です。筋肉、諸臓器、骨、 皮 周、血液、毛髪、爪など生体を構成するほとん どすべての組織は、構造タンパク質や機能たんぱ く質を含んでいます。 例えば、骨もコラーゲンタンパク質の枠組みにリン酸カルシウムが沈着し たものです。また、血漿タンパク質は、生体の酸・ 塩基平衡やコロイド浸透圧の調節、体内での物質 の運搬などを司り、赤血球中のヘモグロビンは組 織に酸素を供給しています。さらに、生命現象の 化学反応(酸化還元)の触媒である酵素、 インスリ ンやグルカゴンなどのホルモン、免疫反応におけ る抗体(免疫グロブリン)や補体成分もタンパク質 でできています。

口腔では咀嚼により砕かれ、胃ではペプシンに よりペプトンとプロテオースに分解され、さらに 小腸では、膵液中のトリプシン、キモトリプシン、 カルボキシペプチダーゼなどにより、また小腸粘 膜のアミノペプチダーゼ、ジペプチダーゼにより、 遊離のアミノ酸か数個のアミノ酸からなるペプチ ドまで分解され吸収されます。

タンパク質は、約20種類のアミノ酸がさまざま な量や比率で多数結合した高分子化合物です。 そのため、どのアミノ酸(とくに必須アミノ酸)がど れだけ含まれているかにより、タンパク質の栄養 価は異なります。タンパク質の栄養価は、生物価 や化学価などの方法で表されます。生物価は、体 内に吸収された食事タンパク質のうち、どれだけ 体タンパク質として利用されたか、その割合で表 されます「生物価=(体内保留N/体内吸収N)× 100。 一方、化学価は、食品タンパク質中の各必須 アミノ酸含量を、比較基準タンパク質中のそれ ぞれの値で除し、もっとも低い%値を示すアミノ 酸を第一制限アミノ酸とし、その値をタンパク質 の栄養価とします。いずれの方法でも、一般に、 動物性タンパク質(獣鳥肉類、魚類、卵類、乳類) に比べ植物性タンパク質(豆類、穀類、野菜類)は 必須アミノ酸含量が少なく、その栄養価は劣ります。

タンパク質の適正摂取量は、総エネルギー消費 量のうち、成長期には約13〜15%を、成人期には 12〜14%をタンパク質から供給する量です。

現在、国民の平均タンパク質摂取量は約80g/日 (動物性のタンパク質比率:約50%)で、栄養所要 量を満たし望ましい状態にあります。食事たんぱ く質の不足は、様々なな身体機能を低下させます。 一方、1日100g以上の摂取は尿中Ca排泄量を増加させ、また腎疾患では厳重な摂取 制限が必要となりますが、日本の平均的 食生活では、過剰摂取に対する大きな心配は無いと言えると思います。

エネルギー代謝

食品のエネルギー単位は,カロリーまたはジュ ールで表すことができます。1カロリーは14.5°Cの水1gを 1°C上昇されるのに必要な熱量となります。

栄養学で一般に用いるカロリー単位は,その千倍,すなわち 1キロカロリー(kcal)で,これは4.184キロジュール(kJ)にあたります。

【食品エネルギー量】
食品をボンブカロリーメータ内で完全燃焼させ たときに生じる物理的燃焼価に消化吸収率を考えて ,たんぱく質についてはさらに体内未利用エネ ルギー量を差し引き,生体内で実際に利用される エネルギー量(生理的燃焼価)を求めます。

いわゆるアトゥオターの係数ですが,たんぱく質, 糖質と脂質1g当りの平均エネルギー価は、 それぞれ4.4および9kcalとなります。

【エネルギー代謝】
生体のエネルギー代謝のうち,体温を維持, 呼吸,循環,最低限の臓器代謝活動を保持,生 命を維持するために必要な最小のエネルギー代謝量を基礎代謝量と言います。

その値は体表面積や体重(活性組織量)にほとんど比例します。 そして、睡眠時と安静時のエネルギー代謝量は,それぞれ基 礎代謝量の約0。9倍および約1.2倍となります。

活動時のエネルギー代謝は,その身体活動のために 実際に消費されるエネルギー量が,その人の基礎 代謝量の何倍に相当するかで示され、エネルギー 代謝率(RMR)などの方法で示すことができます。

[RMR=(労作時の全エネルギー消費量-安静時代謝量)/基礎代謝量]

【適正摂取量】
エネルギーの適正摂取量の原則は,その消費量 に等しい量です。

基礎代謝による消費量,身体活動による消費量および食物摂取に伴うエネルギ ー消費量の増加分(特異動的作用:SDA)の和となります。

近年国民のエネルギー摂取量は,近年,やや減少傾向にあります。 ただし、労作強度の低下や交通の発達による日常身体活動量の減少のほうが強く、 エネルギー過剰による肥満が増加しています。

肥満はほとんどの成人病の危険因子となります。適度な運動が大切となり、当然消費量に見合ったエネルギ ー摂取を心がけることが重要となっています。

ビタミン

ビタミンとは、微量でヒトや動物の栄養を支配する有機化合物 で、体内代謝を円滑にして、生体内でほとんど合成 されず、合成量が必要量に満たないため、外部から摂取しなければならない微量の必須 栄養素のことを言います。

ビタミンの種類として大きく、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2つがあります。

水溶性ビタミンは,主に生体内の種々の酵素反応を助ける補酵素として働きます。 ビタミンB1(チアミン), B2(リボフラビン), B6(ピリドキシンなど), Biz(シアノコバラミン), ナイアシン,C(ア スコルビン酸),葉酸,ビオチン, パントテン酸等 様々な種類があります。

脂溶性ビタミンは,それぞれ独自の生理的作用を持っています。
ビタミンA(レチノールなど),D(コレカルシフェロール),E(トコフェロール),K(メナジオン)等があります。 この脂溶性ビタミンは,過剰摂取により障害が起こります。

これらのうち, ビタミンA, D, B, B2,Cおよびナイアシンについては所要量が, またビタミンEについては,強いな抗酸作用と疾病予防の観点から目標摂取量が,定められています。

ミネラルとは

ヒト体内で見出される元素は約20種類で,その うち炭素、酸素、水素,空素,硫黄は,たんぱく 質,糖質,脂質の構成成分としてたくさん存在しま す。

主要な元素として 歯や骨格の 形成,血液凝固,酵素反応,神経や筋肉の興奮伝 導に関与するカルシウム(Ca)。
骨格形成,細胞構 成,核酸リン脂質,リンたんぱく質,高エネル ギー結合(ATPなど),血液緩衝系などの成分とし て重要な働きのあるリン(P)。
細胞内の主な陽イオンで,酸・塩基平衡や浸透圧の維持,酵素活生 の発現、筋肉ことに心筋運動に関与するのはカリウム(K)。 細胞内ではKについで多量に存在し,酵素 活性の発現,神経筋肉の興奮や伝導,ATPを基質 とする酵素反応(ATP-Mg)の主役であるマグネ シウム(Mg)。

細胞外液の主な陽イオンで 塩素イオンおよび重炭酸イオンの形で酸・塩基平衡に関 与するナトリウム(Na)。

ナトリウム塩として水分平衡,浸透圧調節,酸・塩基平衡調節,胃塩酸生 成および鉄吸収促進作用をもつ塩素(CI)。

赤血球へモグロビンや筋肉ミオグロ ビンの成分である鉄(Fe)。

チトクロムCやスーパーオキシドジムスターゼ (SOD)などの金属酵素 の成分で、コラーゲンエラスチンの架橋形成に重 要な役割を担っている銅(Cu)。

グルタミン酸脱水 素酵素,乳酸脱水素酵素, アルカリホスファター ゼなどの成分であり,また舌の味蕾の発達に関与 している亜鉛(Zn)。

ビタミンB12の成分であるコバルト(Co), 甲状腺ホルモンの成分であるヨウ素 (I) 。

アルギナーゼやペプチダーゼなどの補助因子 であるマンガン(Mn)。

グルタチオンパーオキシダーセの成分であるセレン(Se)。

キサンチンオキシダーゼの成分であるモリブデン(Mo)。

正常な耐糖能の維持に必要なクロム(Cr)は、 微量元素の生理的役割についても確認されつつあります。

【適正摂取量】
ミネラルのうち,カルシウムおよび鉄について は所要量が定められています。

成人期以降 カルシウムは600mg/日,鉄10mg/日と定められています。 若年女子の鉄欠乏性貧血, 高齢者(とくに閉 経期後女性)での骨粗鬆症による骨折予防の点か ら,これらミネラルの十分な摂取が望まれていま す。一方,微量元素は,平均的な普通の食生活の もとで欠乏することは稀ですが,静脈栄養や精製 食品の摂取により、亜鉛などの欠乏が問題となっ ています。

食塩については 減量目標摂取量値として10 g/日が提唱されています。現在の平均摂取量は 約12g/日です。食塩は多くの成人病の主な危険因 子であり,過剰摂取に注意する一方、ナトリウム と拮抗的作用のあるカリウム, マグネシウム,カ ルシウムなどの十分な摂取が重要となります。

食物繊維とは

ヒトの腸管内の内因性消化酵素により加水分解 されない食物繊維は、腸内微生物による発酵作用 で短鎖脂肪酸や乳酸などの有機酸を生成。 一部は吸収されエネルギーとして利用されます 食物繊維には,非水溶性と水溶性の2種類があ ります。

【非水溶性食物繊維】
前者には,野菜,果物,いもなどに含まれるセ ルロースやヘミセルロース,ごぼうやキクイモに 含まれるイヌリンなどがあります。

これらの非水溶性食物繊維は,水分を多量に吸収してカサを増 し,糞便量を多くする一方,腸管を刺激して排便 を促します。

このとき,発ガン性物質などの腸内 有害物質が食物繊維に吸着され体外に排泄される 一方,同時に,カルシウムや鉄などのミネラルも 吸着され排泄されるため,多量の摂取には注意が 必要です。

水に溶けない食物繊繊は,また,胃か ら腸へ内容物の移送を遅らせ,食物がゆっくり消 化,吸収されるため,血糖の急激な上昇を抑え, 糖尿病治療に効果的と言えます。

【水溶性食物繊維】
水に溶ける食物繊維では、こんぶやわか めに含まれるアルギン酸は,食物中のナトリウム と結合し体外に排泄する作用があります。

高血圧の予防に効果的です。また,こんにゃくいもやまい も,さといも中のマンナン,柑橘類などの果物や トマトなどの野菜に含まれるペクチンは、コレス テロールの腸管吸収を抑え,動脈硬化や胆石防止 に有効です。

食物繊維の役割は,その種類により 多様です。偏らず,さまざまな食品からいろいろ な食物繊維を幅広くとることが大切です。

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